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熱帯夜 |
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今の季節は夏ではないのに酷く寝苦しい夜だった。 身体から汗が噴出す暑さではなく、身体の中が暑苦しいのだ。 寝台から身体を起こして、水差しから杯に水を注ぎ一気に飲み干したけれど、喉の渇きは癒えるものの、身体は熱いままだ。 そう思ってみて額に手を当ててみるが普段とは変わりのない熱さ。 一つ、ため息をついて、外へ出て風に当たることを決めて扉を開け回廊にでた。 皆も寝てしまったのか、回廊に出てもとても静かだった。 ふわりとそよ風が身体を撫でていくのが心地よい。 少しずつ熱が引いていくような気がする。 「……ふぅ……疲れてるのかな」 身体の中の熱を外に吐き出すように、風に当たりながら何度も深呼吸を繰り返した。 けれど、それも最初だけ。 またじわじわと奥底から熱が上がってくるのが自分でも感じられた。 熱くなる感覚に思わず喘ぐ。 寝てしまおうと思うけれど、眠気は一向にないどころか、目が冴えて仕方がない。 自分の身体の事なのに対処の仕方がわからなくて、情けなくなってくる。 またため息を吐き出した時だった。 足音と鈴の音が、聞こえてきた。 回廊を歩いているのだろう。その音はどんどん近付いてくる。 そして、 「陸遜?」 リン、と音を立てて背後で足音も鈴の音も止まった。 「甘寧殿。まだお休みになられてないんですね」 振り向きながらそう言った。 「まぁな。お前も 何かを言いかけて甘寧が息を飲んだ。 「……どうしました?」 首をかしげて訊ねると、彼はゆっくりと口角を歪ませて陸遜の腕を掴んで強く引いた。 「行くぞ」 「え? 甘寧殿!?」 陸遜の部屋に我が物顔で入っていき、そのまま寝台に軍師を押し倒した。 「かっ甘寧殿!何を 噛み付くように口付けされる。 するりと滑り込んできた舌が口腔内を隈なく探り、奥に引いていた陸遜の舌を絡め取る。 ぬるりとした温かい舌が好き勝手にする度に、陸遜の中の熱は自分ではどうしようもないほどに膨れ上がっていく。 どのくらいの時間そうしていたのか分からないが、唇が離れる頃には陸遜は瞳を潤ませて軽く息を切らしていた。 「……は、ぁ……何、するんですか……」 「お前が誘ってるから、答えてやってるだけだぜ」 「誘ってなんかいません!」 勢い付いて言ってみたものの、本当のところはどうなのかわからなかった。 「じゃあ、なんでこんな夜中に部屋に居ないであんなところにいたんだよ」 「……それは、寝苦しくて……風に当っていただけです……」 「物欲しそうな顔で?」 「そんな顔! し、してません……」 否定するばするほど、困惑してくる。 「してるだろ。今もそうだ。身体だって熱くなってるぜ」 言葉と共に布越しに欲望を指でなぞられる。 「あっ……っ!……ぅん、甘、寧ど、の……」 軽く触れられただけなのに身体全体が喜びに震えたのを感じる。 それどころか、もっと触って欲しいと口が勝手に言ってしまいそうだ。 「楽にしてやる……伯言」 耳元で低く囁かれて、もう抵抗など出来なかった。 身体の欲望に負ける意志。 身体は熱さが増し、触れられる度に蕩けていきそうになる。 心も嬉しいと言っていることにも求める度に気付く。 この手を、声を、望んでいたのだろうか。 それならば 眠れない熱帯夜を穏やかな夜に戻してくれるのは、この人だけ _____________________________________ 「25のお題03.熱帯夜」2006.01.11up 甘×陸 大変です。微エロどころじゃなくなってきました。 |
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