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気が付けば。 |
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「よっ陸遜!」 様々な書類を持って歩いていたら背を痛いほど強く叩かれた。 「どうかしましたか、甘寧殿」 振り向いてにっこりと笑って、落ち着いた声を出す。 「用がなくっちゃ声かけちゃいけねえのかよ」 「そんなことはありませんが……今は忙しいのですよ」 書類を届けないといけませんから、と小首をかしげて再度笑った。 「いっつも忙しそうだよな〜。いつなら暇してんだよ?」 まるで不貞腐れたような口調が、とても小さな子供の様に見える。 そんな甘寧の姿が可笑しくてくすくすと小さく笑う。 「あ?なんだよ」 何を笑われているのかわからない甘寧は、少し困った顔だ。 「いいえ」 なんでもありませんよ、と首を軽く左右に振った。 「では、私はこれで」 甘寧が質問したことに答えることなく、背を向けて再び歩き出した。 書類を持って歩く足取りが少しだけ軽くなっていることに気が付いたのは、暫く歩いてからのことで、1分ほど話をしただけなのに、心が喜んでしまっている自分が単純だな、と呆れたため息を吐き出した。 書類を渡し、今後のことに関する話を多少して文官たちの部屋から出て、自らの部屋へ戻ろうと廊下 を歩いていると、どこからともなく聞き覚えのある声が耳に届いた。 首を巡らして辺りを見ると、美しく整えられた庭で、甘寧と凌統が何やら話をしているようだった。 何を言っているかまではわからないが、立ち止まって二人の姿を見ていると、どうやら徐々に甘寧の 声が大きくなって来ているようで、話している内容が辛うじて、だが聞き取れた。 「そんなことは関係ねえ!ただぶった切るだけだ!」 力強く腕を振り回しながら物騒な事を言っている。 凌統が何かを言ったようだが、声は聞こえない。だが、表情は見えて、その顔はどうやら呆れていながらも笑っている様子。 嫉妬とでも言うのだろうか、これが。 「……ありえません」 小さく呟いた言葉は、何を否定しているのか自分でも分からない。 二人は特別な関係かもしれない、という事を否定しているのか、自分が嫉妬をすることを否定しているのか。 わからない。 そもそも、この気持ちが恋愛感情なのかどうかもわからない。 「……っ」 目を伏せて、首を振り、ありえないと、言った自分をなかったことにして、止めていた足を動かした。 「寝る直前なら暇ですよ」 言えもしない言葉を閉じ込めて 知ってましたか。 僕の視線は貴方を捕えて離れてくれない。 この気持ちは _____________________________________ 「気が付けば」2005.10.06up キャラ掴み。陸遜編。でもきっと腹黒。ギャグが書きたいんです。ほんとはギャグが。 |
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